9/16、中国がTPPへ加盟申請した。2015年に合意したTPPは日・米が主導する中国に対する経済包囲網の狙いがあったが、前米国大統領時代の17年に米国がTPP加盟から脱退。その後、日本が主導して11カ国で構成される枠組みを2018年末に発効させた。
また、9/22には台湾がTPPへ加盟申請している。中国は米国が加盟する前に、台湾は中国が加盟承認される前に申請しておくことを重要視している模様である。
これまでも、TPPは本コラムでとりあげているが、ようやくサプライチェーンを構成する主要国が加盟あるいは申請している状態となった。TPP加盟国は特恵関税あるいは関税フリーの恩恵を享受し、さらにサプライチェーンの流量が増加されると考える。
前述の通り中国、米国、台湾などの列国間のパワーゲームはあるが、サプライチェーンの実態は、すでに中国が主軸の1つとなっている。
日本企業は引き続き、近隣の中国で生産・輸入する。ASEAN地域へ生産シフトしている部分もあるが、日中間の物理的距離の近さ、中国発の配船数の多さ、作業品質の安定性等から、他国と比して計画と納品のリードタイムが絶対的に短い。今後も中国依存からの脱却は困難と考える。
このような中、効率的なサプライチェーンの観点では早期に申請国が加盟されることを切望する。今後もTPPの動向には注視していきたい。
TPP加盟国(11カ国、21/9月末現在):日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、シンガポール、ベトナム、ペルー、ニュージランド。21/2月に英国が加盟申請、韓国も近いうちにTPPに加盟申請すると推察される。