TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

CI ~物流会社の企業ブランディング~

日本通運が創業以来、初めてロゴマークを変更する。「マルツウマーク」として広く認知されていた赤丸に白抜きで「通」と書かれたものから、「NIPPON EXPRESS」の頭文字をとった「NX」がフレッシュグリーンで描かれたものになる。長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」実現に向けたブランド強化を図る一環としてある。
企業イメージの変革を内外に発信する為、企業ロゴや社名を変更した事例は多数ある。例えば、直近ではアメリカの自動車メーカGM社が、今後本格展開する電気自動車(EV)を想起させる企業ロゴを変更した。また、過去ではソニー(現:ソニーグループ)がグローバル化を図る際に東京通信工業から社名をブランド名に変更している。
日系フォワーダーのグローバルにおける競争力は高いとは言えない。海上コンテナ取扱量では1位のKuehne+Nagelが4,355千TEUに対して、日系首位の郵船ロジが12位の774千TEU、日本通運は22位の550千TUEと大差付いている。航空貨物では多少差が埋まるものの、首位のDHLサプライチェーンの2,248千トンに対して、日系首位の日本通運は7位705千トンと1/3程度の取り扱いである。
日系大手フォワーダーが海外で苦戦を強いられる理由として、海外でのサービス提供基盤の弱さや、海外発の仕入れ力の弱さなど背景にあるだろうが、営業力そのものの弱さにも原因があるのではと考える。国内では強いブランドイメージを活かしたプル型の営業が中心であるが、ブランド力が十分に無い海外では、プッシュ型の営業が強いられ、国内で培った営業ノウハウが活かされないからだ。それでもかつては日系メーカの海外進出に合わせて自然と貨物も獲得できていたが、メーカ側責任者の現地化採用が進む中、これまでの様な日本人という関係性だけでの営業活動はできない。
創業以来、初めて実施する今回のロゴ変更には日本通運のグローバル化に向けた並々ならぬ決意が感じられる。今後の海外展開に注目したい。

民谷 成