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半導体業界、供給業者の交渉力とブルウィップ

世界的な半導体の不足を受け、台湾半導体ファウンドリ大手などが、車載用半導体を中心として最大で15%の値上げを要求している。昨秋から値上げを一部で実施してきたが、再度の値上げ要求に踏み切る。早ければ2月後半から3月にかけて段階的に実施する見込みとのことだ。
自動車メーカーと部品メーカーは年1回交渉し、車メーカーが2~3%の値下げを求めるのが通例。今回は、半導体部品メーカーが、供給先の自動車メーカーに対して値上げを要求する逆の構図になっている状況。
サプライチェーンを構成する企業間の関係性の変化であり、いわゆる供給業者の交渉力が強まる状況である。今後、半導体不足が緩和していくと、半導体価格は落ち着くと考えるが、ファウンドリの設備投資力、技術力などが高い参入障壁となっているため、当面、この逆の構図は継続すると考える。
さらに半導体を確保するため、半導体メーカーに二重発注や過剰発注が多発しているとのこと。実需が見えにくくなる、在庫過多となる、いわゆるサプライチェーンにおけるブルウィップ現象が顕在化している模様だ。

竹本 佳弘