2024年度よりトラック乗務員の残業上限を年間960時間にする規制が適用され、人材不足による物流コスト増に拍車がかかる。
前回のコラムでは食品メーカーのトラック搬入の完全予約システム導入を紹介するなかで、サプライチェーン全体での取組が望まれることに言及した。今回はそのサプライチェーン全体の取組検討を紹介する。
食品、日用品メーカー約50社が業種を超えた共同配送の検討を開始。2025年までにトラックや物流拠点の共同利用を始める。トラック乗務員が不足する中、負担が増す物流コストの抑制につなげる。複数社の製品を混載することで積載率を高めて輸送効率を向上し、CO2の排出削減も目指すとのことだ。
サプライチェーン全体の協業はこれまでも行政主導で掲げられてきたが、今回の実現を切に願うところだ。
国交省によると営業用トラックの積載率は20年に4割を下回った。共同配送により25年に60%、30年に70%まで向上させる目標だ。トラックは国内に1400万台あるとされ、仮に荷物の量がかわらず積載率が倍程度になれば単純計算では必要なトラックは半分になるとのこと。
前述の共同配送実現のためには例えば、協業する各社が貨物情報を統合データベースに格納し、AI等で自動配車する、共同物流のシワ寄せ(全体最適に向けた課題)として、店舗配送の納品条件等が改悪となる場合は廉価の配送料を享受できる等の仕組みが必要と考える。
共同配送という全体最適に移行すると協業各社の物流要件に対応するのは困難となる。物流は商流要件の顕在化(鏡)であるため、共同配送等の全体最適に向けては、廉価、遅い、低頻度等の新たな物流要件に変更するような物流業務のプロセス・ルールを組み替えることが必要と考える。