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北海道産水産品、チャネル戦略 X サプライチェーン戦略の成功事例

北海道産ホタテの23年中国禁輸により水産加工企業のサプライチェーン再編が加速している。メキシコと東南アジアという加工地の新ルートを確保、2.3万軒(2023年ジェトロ発表、10年比6割増)を超す日本食レストランを抱える米国市場を高・低価格の両面で開拓するとのこと。
北海道からのホタテ類輸出は616億円(22年、函館税関統計)、7割占める中国向け禁輸後、23年は242億円(22年比45%減)。北海道のホタテ類輸出全体も442億円(22年比24%減)と急減(但し実態は中国産と偽り中国内で流通しているとの報道あり)。
これを受け北海道で冷凍の上、メキシコに輸出、加水処理無しで殻むき後、ロスやベガスなどの高級すし店や高価格帯スーパーに販売とのことだ。結果、23/9月-24/3月の米国向け:79億円(前年同期比2.4倍)、ASEAN向け:20億円(同3.6倍)とのこと。
新たなサプライチェーンは高級品をメキシコから冷蔵で米西海岸に届ける。低価格の冷凍品はインドネシアやベトナムなどで加工後に再冷凍して遠隔地のシカゴやニューヨークに輸送、既存販路の中華レストランに販売するとのことだ。
中国禁輸というビジネス危機を契機としたチャネル(販路)戦略 X サプライチェーン戦略(加工拠点・機能と輸出入経路)の事例と捉える。本事例の高価格設定と販路構築は現地協業先の強い流通力も1つの要因と推察する。
また加工の拠点・機能を設定、分業することによる輸出入の容易性を把握していることも成功要因である。今後、当水産加工企業はメキシコ、インドネシアの加工拠点・機能の利用拡大を見据えていると考える。水産品のカテゴリーを拡充する、加工拠点を水産品流通のインフラとして同業他社に開放、北海道産品の世界流通量拡大を推進するのである。

竹本 佳弘