「外食(レストラン・宿泊施設・宴会場など)」で発生するフードロスは全体の16%と、事業系ロスの中では食品製造業に次いで2番目に多い。発生原因は、食べ残し(58%)、仕込みすぎ(39%)、仕入れ過程(2%)、流通・保管過程(2%) と主に調理後に発生しているとされる。つまりは、消費者の過剰な注文により食べ残しが発生するケースと、提供側の過剰な供給により食べ残しや売れ残りが発生するケースの2通りだ。
過剰な注文を抑制するには、提供側は注文時に食べる量を調整可能なメニューを提供すること、消費者側は食べきれると思う量を注文する、仮に、注文し過ぎた場合には責任を持って持ち帰るなど、双方の取組みが必要と考える。
一方で、過剰な供給は供給側が起因するもので、例えば、見た目や満腹感で満足してもらおうと多めに用意したり、提供時間を短くしようと予め調理するなど、顧客満足度を向上させたい提供者側の意思によるものだと考える。これは小売りや食品製造業にも共通することかもしれないが、少し余分に用意するのは売上(利益)を最大にするために必要な準備であり改善するのは容易では無い。
そこで、重要なのは、作りすぎたものを如何に消費者に届けるかである。例えば、「タベッタ」というアプリは、急なキャンセルが出たお店と、安価に食事を楽しみたい顧客とを繋ぐマッチングアプリだ。これにより、予約客用に仕込んでおいた料理を無駄にすること無く提供できる可能性が高くなる。また、冷凍技術の進歩により美味しさをキープしたまま冷凍保存も可能とされており、この冷凍保存技術とウーバーイーツの様なデリバリーサービスを組み合わせることで、調理し過ぎた商品の消費先を、来店できない人にも拡大可能になると考える。
コロナ禍以降、移住やテレワークによる東京郊外での消費が増える今、都心の余剰を郊外で消費というコンセプトのビジネスも生まれるのではと考える。フードロス削減はよく消費者のマインド改善が重要だと言われるが、今後ビジネスの仕組みの中で削減が推進されることにも期待したい。
参照:平成13年 食品循環資源の再生利用等実態調査報告