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食品SMの淘汰・統合② ーECプラットフォーマーとの提携による生き残りー

前回のコラムでは食品SMの淘汰・統合に言及した。今回はECプラットフォーマー(以下、当企業)との提携による食品SMの生き残りについて言及する。具体的には購買データの活用やEC展開などで当企業から支援を受け経営改善を図るものである。
都内を中心に90店舗規模のSMを運営する企業は当企業との提携により23年8月期に935億円と復調(前期は900億円未満)、24年8月期は前期比9.5%増収とのこと。増収要因の1つが当企業とビッグデータなどを基に立案・実行する日次の販促戦略である。来店客が見込まれる週末にはポイント還元額を増加、精肉の大容量パックや総菜の品ぞろえを充実。高齢者向けには年金受給日に4万円の現金を店頭ATMにてチャージで1000円相当のポイント還元キャンペーンを実施。8月には1日に計8億円分の現金がチャージされたとのこと。
今後は本提携をさらに進化させて、当企業のECサイトで取り扱っている地方物産品を仕入、店頭販売するのはどうだろうか。ECサイトの食品(ドライ・チルド)ベストテンを店頭陳列、購入したお客様によるランキングを掲示するのである。後方支援としては90店舗を管轄する物流センターで一旦在庫し、各店舗への配送便に載せる。
商流は当企業の入口・出口戦略(ポイント発行→ポイント使用・当ネットバンク決済)を活用、情報流も当企業のECサイト運営ノウハウを活用、物流はSM自社の物流網を活用と、中堅食品SMの生き残りとしてECプラットフォーマーとの提携を加速するのである。当然、業務提携であり、当企業傘下のリアル店舗になるのは避けたい。このためにも地域密着型の商品開発・陳列・接客の差別化要素に磨きをかけることが重要と考える。

竹本 佳弘