ECブランド「PYKES PEAK」が発表した「置き配」に関する調査結果によると、「置き配」かつ「日時指定」の配達依頼が、配達ピークである19時〜21時の業務量を著しく増加させ、配達員の残業や交通事故のリスクを高める要因になっており、配達員の声として「置き配には大賛成だが、日時指定には大反対」、「日時指定は夜間指定と同義」といった意見があるという。
「置き配」とは、配達員が受取人と対面せずに荷物を指定の場所に配達する方法である。 コロナ禍を契機に、非対面配達の需要が急速に増加し、再配達削減の有効策として期待されている。
昨年ヤマト運輸が実施した「置き配」に関するアンケート結果によると、「置き配」を利用した理由として最も多い事項は、「ドライバーに何度も来てもらうのが申し訳ない」であり、利用者側の心情として再配達削減に貢献したいという想いが伺える。一方で今回のように「日時指定」と併用するケースも存在する。その背景には、「長時間放置すると盗難のリスクがあるため、帰宅時間頃に合わせたい」、「在宅中に受け取りたいが、対面は避けたい」と、利用者ニーズの優先があると推測できる。
本来「置き配」は、配送業者にとって、再配達削減に加え、在宅時間を考慮せず配送効率だけを追求した配送ルート組みを可能にできる仕組みである。しかし、「置き配×時間指定」を要求されると、配送ルート組みに制約が生じ、期待していた配送効率は得られず、また、通常の対面配達と同様に特定の時間帯に業務が集中するため、配達員の残業や交通事故のリスクを高める要因となる。
そこで、利用者に「置き配」だけを選択する様に行動変容を促すための取組として、まずは利用者に物流構造を理解してもらう必要があると考える。配送会社のウェブページやECサイトにて分かりやすく説明し、利便性向上の選択が、物流現場の負担につながっていることを認識してもらう。次にインセンティブの付与を検討する。政府が再配達削減に寄与した配達依頼について、お買い物ポイントを付与する実証を進めているが、この際に、「置き配」のみを選択した配達依頼について付与することを推奨したい。
また、利用者が懸念する盗難リスクに対しては、政府が既に導入を促進している「宅配ボックス」の設置数を更に増やし、利用者が盗難リスクを気にせず「置き配」を利用できるインフラを整える必要がある。それにより、配送業者も「置き配のみ」のサービス選択肢に限定することができるのではないかと考える。
社会全体で物流現場の負担を分散させる仕組みを整え、誰もが快適に利用できる物流サービスを築いていくことが求められている。
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置き配X日時指定~利便性の裏に潜む課題~
SCM/ロジスティクス
2025年02月07日