ウクライナ情勢の影響が拡大しているグローバルサプライチェーンにおいて、米国ではさらにサプライチェーン停滞の予測がある。
2022年に西海岸の港湾の労使協約の更新時期を迎える。米西海岸29港湾の船会社70社やターミナルオペレーターなどの使用者側を代表する米太平洋海事協会(PMA)と約1万5000人の労働者が加盟する国際港湾倉庫組合(ILWU)が現協約の期限である22年7月までに交渉を行う。
2002年には改定交渉が決裂し、ILWUが意図的に作業遅延を行ったとしてPMAが港湾封鎖に踏み切り、大混乱となった。
2014年にも期限内に交渉がまとまらず、当時の米国大統領が仲裁に乗り出し、2015年2月にようやく合意。しかし、1日当たり20億ドル(当時で約2400億円)の損失発生とのことだ。
コロナ禍において、港湾労働者はエッセンシャルワーカーとして、2年にわたり、感染リスクと向き合いながら業務を行ってきた。労働市場では人手不足の深刻化で賃金上昇が継続。加えて現米国政権は労働者保護や所得再分配を重視しており、交渉力は使用者側から労働者側へ移行する模様。
インフレが高止まりする中、2022年7月までに交渉成立しなければ、米国経済にとって、さらなるリスクになる。今後の交渉の動向に注視したい。
- HOME
- コンサルタントコラム
- 米国、サプライチェーン停滞の予測
米国、サプライチェーン停滞の予測
SCM/ロジスティクス
2022年05月09日