近年、「ERPの導入に失敗して商品供給が止まった」というニュースを目にする機会が増えた。しかしシステム導入の失敗事例は大規模なERP導入だけに限った話ではない。新倉庫の立上げや3PL業者の切り替えに際しての「基幹システムとWMS(倉庫管理システム)の連携」に於いても結構な頻度でトラブルが発生していると聞く。
その大きな理由の一つは3PL業者のIT人材不足である。最新のIT技術に関する知識、プロジェクト管理のノウハウなど、システム導入のプロセスに欠かせないスキルを持った人材が、企業規模の大小にかかわらず、物流業界全体として不足している様なのだ。そのような知見を持った人材はコンサルティング会社に流れてしまい3PL業界の内部に囲い込むことができない(賃金格差による)、などの理由があるのだろう。
WMSなど物流システム導入の難易度はERPの場合に比べれば低い。しかし物流システムがトラブルを起こし出荷が止まれば企業の活動全体が停止してしまい、そのインパクトは計り知れない。リスクを最小化するためには適切なスキルを持った人材を活用し精緻なプロジェクト管理を行うことが肝要だ。そのような人材を3PL各社が自前で用意できないのであれば、3PL側か、あるいは荷主側が外部の人材(コンサルタントなど)を起用するのもオプションの一つだろう。
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物流業界におけるIT人材の不足
ITテクノロジー
2024年08月13日