福岡県の物流施設建設が活況だ。EC市場拡大とともに福岡県の物流施設のスペースが急速に逼迫したことだ。
福岡県は大消費地を抱える割に物流施設数が少ない状況が長らく続いてきた。24年にトラックドライバーに対する残業規制の猶予が終了し、長距離輸送が一段と困難になることが予想されることも背景に、物流施設の建設ニーズが一気に高まったとのこと。
不動産サービス大手によると19年以降、福岡圏では複数テナントが入居する大規模物流施設で空室ゼロの状態が続く。同社が調べたマーケット賃料によると3300円・坪・月と5年で2割も上昇したとのことだ。
物流施設建設の活況は関東圏、東海圏、近畿圏から、現在では福岡、東北等の地方圏向けの物流施設に移行している。
しかし、関東圏も今後、新設物流施設の供給過剰が懸念される中、地方圏も供給過剰にならないことが望まれる。
関東圏では、これまで物流不動産デベロッパーは物流施設を建設するだけでテナントが決まり、満床状態となった。これはEC市場の急成長によりEC企業は物流施設の新設、増床が必要となったためである。
しかし、EC市場においての勝ち・負け企業が顕在化、物流施設を新設、増床できるのは勝ち組に限定された。
一方、物流不動産デベロッパーは建設(供給)を続けるため、供給過剰が懸念されており、現在ではテナント側が新設物流施設を選ぶ状況に移行している。
このため、物流不動産デベロッパーは従前の物流施設を建設、箱売りのビジネスではなく、物流オーケストレーションを活用した付加価値(低コスト運用、短納期処理、労働力不足の中での自動化)ビジネスが必要となっている。
次回のコラムでは物流オーケストレーションについて詳述する。