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物流不動産の過剰難と人財難

物流不動産の建設ラッシュが止まらない。首都圏では大型物流施設の新規供給面積が右肩上がりで増えている。不動産大手の調査によると2023年は、延べ床面積3.3万平方メートルを超える新規供給施設をすべて合計すると、約300万平方メートルとなる見通し。首都圏で1年間に新規供給される大型物流施設の延べ床面積は、23年に10年前の4倍になる見通し。一方、23年1〜3月の空室率は8.2%と22年10〜12月から2.6ポイント上昇したとのこと。

来年以降の物流不動産の過剰難が懸念される。背景には次の様な構造があると推察する。物流不動産(物流センター)の建設部門とリーシング部門が異なる、または親会社が建設部門、子会社がリーシングあるいは物流センター運営管理会社である。建設部門はノルマをもとに多少立地の悪い土地でも建てる。一方、リーシング部門は値引きしてでもテナント付けに必死となり、結果、建設からセンター運営管理までのトータルの収益性は稼働当初より悪化する。ノルマが異なることで全体最適が損なわれる部門間のひずみである。

さらにテナント企業側の人財難の課題もある。急速且つ同時並行の物流センター稼働に対し、テナント企業の物流センター長が不足している。キャリア採用で補充するも、間に合わない。且つセンター運営において資格取得(防災、衛生管理等)の時間も不足している。結果、物流センター運営における作業品質が担保できるか懸念が残る。今後の物流不動産の新設状況に関し、注視していきたい。

竹本 佳弘