新聞報道において企業のデジタル投資の指標として、無形固定資産倍率を紹介している。これは無形固定資産(のれんを除く)と有形固定資産の比率(倍)で示される指標である。報道によれば、コロナ禍において、無形固定資産倍率が低いほど業績の落ち込みが大きい。上場企業において、無形資産倍率の下位100社のうち、最終赤字となったのは34%。一方、上位100社で赤字だったのは22%とのことだ。この%値と業績との関連性は言及できないが、これまで企業のデジタル投資の目的は工場の生産性向上、事務の効率化など、社内向けが中心であった。また、今では売上確保目的の競合他社追随型のECへの投資も必須となっている。
今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進役となり、社外向けの、アプリなどを活用した顧客接点に対するデジタル投資が必要となる。顧客の利便性追求による個客確保が目的である。創る(開発)・作る(製造)・繋げる(供給)という従前からのサプライチェーン高度化へのデジタル投資ではなく、繋がる(個客との接点構築)・紡ぐ(個客と関係性を紡ぐ)・届ける(個客に一番便利な方法で納品・決済する)というデマンドチェーン徹底への投資が求められている。
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無形固定資産倍率から見る企業価値
経営戦略
2020年07月10日