消費者の購入の場が店頭からネットに変わってきた。コロナ禍において消費(購買)のロケーションシフトが加速している。
アパレルセレクトショップ大手は動画やデータアナリストによる顧客分析などを駆使し、ネットで年1億円売る店員が登場。同社のネット売上高比率は5割となり、大手他社の同比率1-3割を凌駕する。同社では店頭で月200万円売るとカリスマ店員といわれるなか、ネットのみで2,000万円、売上げる店員が複数在籍するとのことだ。
コロナ禍において、これまでもアパレル業界はEC支援企業のソリューションを導入し、店員個々がECサイトにアップするコーディネート画像の業績連動型報酬を実施してきた。
同社はさらに組織力で先行している。データアナリスト、システムエンジニア、マーケッターなど100名超のチームを自社で組成。例えば、直近1週間で3回同じ商品を見たが購入しなかったお客には改めて在庫を通知するといった具合に情報を継続的に提供。ある顧客がお気に入りに登録した商品について販売員がコーディネートを投稿すると、お客に通知して結びつきを絶やさないといった工夫もするとのことだ。
企業のEC事業の成長の方向性として、前述の企業と個客とのつながりだけではなく、個客と個客とのつながりも深化してはどうだろうか。
カリスマ店員の推奨するコーディネートを体験した個客が、その画像を他の個客に推奨する。その画像には、自社商品ではない服も一部あるが、その服の近しい自社商材をさらに推奨するなどである。
個客の嗜好を前述の専門組織が分析して、カリスマ販売員を頂点とした同一嗜好の個客クラスターを構築する。その上でクラスターの中に種々の情報を流通させ、個客間のつながりを深化させるのである。