TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

業界ブロックチェーンの起こり

半導体業界がブロックチェーンを使ったサプライチェーン管理システムの構築につき協議を開始、2021~22年の実用化を目指している。新システムは製品や半導体製造装置に管理ラベルを貼付、各工程でスキャンデータを生成して、製品、製造装置のトレースフォワード・バックを管理する。半導体製品の製造履歴や納入先を把握し、偽造品や環境問題を抱えるものを排除するのが狙いだ。コロナ禍においてサプライチェーン寸断回避のため、各社が在庫を確保したところ、品質の悪い偽造品が紛れ込むといったケースもあった。米国ではメーカー名や品質を偽るなどした偽造の半導体品の流通総額は年75億ドル(約8千億円)あり、また、将来的に新システムは半導体の搭載が増える自動車などの別業界団体との共通利用も模索しているとのことだ。
当システム機能は、これまでも個社単位で活用する動きはあったが、コロナ契機により業界共通でブロックチェーンを活用した仕組み化が加速しそうである。普及のポイントは、サプライチェーン上の各工程の履歴を残す手間をだれが担うか、そして、業界共通システムと自社システムのインタフェイスが低コストで連携し、データを有効活用できる企業のITリテラシーである。
理想ではあるが、業界全体で、サプライチェーンにおける複雑化、重層化とその中での製品、装置の製造・通過履歴が可視化されれば、有事に強い業界サプライチェーンが整備されると考える。

竹本 佳弘