建機メーカー大手が建機に搭載していた遠隔監視システムを事業化(外販)する。月5万円程度からの利用料で他社ブランドのダンプトラックに搭載、工事会社などの現場管理を効率化する。建機だけではなく関連事業で培ったサービスの知見も製品として販売、ソフトで稼ぐビジネスモデルが製造業にも広がってきた模様だ。
当社は2001年からGPSを使った遠隔監視装置を標準搭載した建機を販売、工事会社などが稼働時間や位置のデータを簡単に収集できるシステムで、管理者は端末が送るデータに基づき複数台のダンプの居場所や走行スピードを遠隔から一括して把握できる。位置や速度がわかることで工事現場での作業効率が上がる。ダンプの現場到着にあわせて油圧ショベルの作業員が土砂を積み込む準備を始めたり、複数現場の作業進捗をまとめて把握し、無駄のない巡回ルートをつくることが可能とのことだ。
遠隔監視システム事業化の成功要因は2つある。1つ目は販売体制が構築できるかである。代理店制(リセーラー)を活用するにせよ、ソフトを販売する人材は、当社の遠隔監視システムの開発・保守要員のスキルセットとは異なる。顧客に対するソリューションの対話スキル、社内に顧客ニーズを伝達するスキルなど、既存要員のスキルセットとは異なる。
2つ目は外販することで当システムを建機業界の機器管理プラットフォームにできるかである。工事会社あるいは建機レンタル会社の保有車両を情報ネットワークのなかで管理することで、業界全体での建機(資産)管理が可能となる。いわゆる適正な資産(在庫)・稼働管理である。また、このネットワークを通じて建機の配車や新たな故障予防サービスの提供等も可能であろう。いわゆるメーカーのIT企業化である。
IT企業化により、ネットワークのなかで顧客が活動する。情報・活動が可視化・蓄積され、新たなサービスを提供、マネタイズするモデルが確立する。業界のプラットフォーマとしてのポジションを逓減化した固定費で確立することが可能になるのである。
- HOME
- コンサルタントコラム
- 建機メーカーのIT企業化
建機メーカーのIT企業化
IoT
2020年10月22日