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無人配送、米国と日本

米国流通業最大手は労働力不足と物流コスト高を背景に、アルゴAIの技術を用いた無人トラックによる物流拠点から店舗への配送を開始。21年内に米3都市で配送拠点から家庭までの宅配にも活用範囲を広げるとのことだ。
当流通業者は米国民の9割を半径約16km圏内におさめる4700店の店舗網を持つ。実用化すれば、短時間での宅配を低コストで実現する上で大きな武器になるとのこと。
自動運転の実用スピードを左右するのが州政府などによる規制。交通規制の策定は州政府に委ねられ、企業誘致に向けて規制緩和を進める州で実証実験や実用化が進む。
一方、日本の取組は遅れている。導入が進むのは工場や空港の敷地内で使う自動搬送車(AGV)が主要実績。3月にEC企業とSM企業が神奈川県の公道でスーパーから住宅へ商品を届ける自動配送ロボットの実証実験が国内初とのこと。
過日、コラムで言及した中国勢のEVトラックの日本市場侵攻と同様に、日本の取組の遅さは著しい。米国勢のトラック無人配送サービスの侵攻が想定される。
あらゆる角度から無人配送を検証した米国勢の実績は強固なものとなる。当然ながら、日本の道路事情は米国とは異なるものであるが、無人配送の安全性の保証は米国に一日の長があると言える。
無人配送を活用する日本企業にとっては、日本の技術力向上の阻害要因ではあるが、短期導入、低コスト、安全性が共存する他国のサービスを導入せざる得ない。

竹本 佳弘