ショールーム機能に特化した売らない店が拡大している。火付け役の米国発スタートアップは自前の店舗に加え、運営ノウハウの外販を始めた。2023年4月、同社は5店舗目の常設店を梅田に開店。例えば商品前で5秒以上立ち止まった客の数や年代・性別をセンサーとAIで計測。これらデータに店員が客から聞いた感想を加え出品したメーカーに感触を伝えるとのこと。
22年民間調査では家具・家電など大型商材で、30%程度の消費者が店舗で商品を見たうえで同商品をECで購入との結果である。一般的にEC単体のアクセスに占める購買率は1~3%といわれ、売らない店が手触り感を提供、ECサイトに送客するとのこと。一方、売らない店も課題はある。利用客からもECでしか買えないことが不満。今後の売らない店の役割は新商品の認知度向上と集客。その後はポップアップストアなどに移行して実売する等の見方があるという。
売らない店の役割は今後も拡充していくと考える。手触り感の高度化(顧客の成功体験のリアルさ)と商品の高度化(他業界への用途転換)である。手触り感の高度化としては、商品を手に取った来店者に対し、ARゴーグルを装着頂き、具体的な商品の活用シーンを体験して頂く。商品の高度化としては、商品には興味の無い、関連の無い、他業界の商品開発者を売らない店に招待し、商品機能の協議と当業界への用途転換の機会を探るのである。売らない店→ECへの送客だけではなく、さらなる店舗機能の拡充を目指して頂きたい。