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企業のSDGs取組みと消費行動

コロナ禍において、さらにSDGsがフォーカスされているが、SDGs認知度に関するアンケートでは、「認知している」と回答した人が50%以上となり、2019年度と比較すると2倍以上と、SDGsの認知度は向上している。
ただ一方で、消費行動への影響については限定的で、商品にSDGs表記有りを購入するかという問いに対して、
「品質・機能・価格が等しい場合は表記有りを選ぶ」が31%、
「品質・機能は同じで価格が高い場合に選ぶ」では14%まで低下、
逆に「SDGs表示無くても安価な商品を選ぶ」が27%と、SDGs表示有りを上回る結果となる。
この背景には、消費者のSDGsに対する理解度が十分で無いことは当然だが、消費活動が社会に与える影響が見えにくいこと、また、そもそも日本商品に対する高品質・高機能のイメージが定着している中、SDGs商品を選ぶインセンティブが低いことがあげられる。
多数の企業がIRとしてSDGsやESGに関する取組みを発信しているが、消費者まで活動内容が認知されている例は少ないのではないだろうか。
例えばコンビニにおいて有料化されたレジ袋であるが、当収益は各社、環境保護活動に充てられている場合が多いが、残念ながら取り組みは消費者には訴求できていない。
アンケート結果でもSDGs関連の商品を購入しない理由として、「具体的な商品・サービスが不明」、「企業の取り組みが分からない」という意見が多いことが確認されている。
企業活動が消費者に訴求されなければ、消費行動に変化をもたらすことは難しいと考える。また、日本製に対する高品質・高機能のイメージが高く、特に食品などでは国産プレミアムというブランド想起があるため、たとえ割高な商品でも国産が選ばれる傾向にある。
あえてSDGs商品を選択するインセンティブが低い。「国産」ということが高品質を保証しており、社会的責任ある企業が製造・販売する商品への安心感が醸成されるからだ。
企業のSDGs活動が消費行動に与える影響はまだ低いが、社会貢献度の高い企業の商品が選択されることを望む。その為には、消費者が能動的に企業活動の情報を取得するインセンティブを与えることが重要であると考える。
例えば、消費者が商品購入した金額に応じてSDGsポイントを取得、企業のホームページから気になるSDGs活動に直接的に投資することができる様な仕組である。社会的責任ある企業の製品が選択される、その第一歩として、消費者が企業のSDGs活動に関心を寄せる機会を作り出すことが必要ではないだろうか。

参照:
・朝日新聞社「SDGs認知度調査 第7回報告」
・クロス・マーケティング「SDGsに関する調査(2021年5月)」
・株式会社メンバーズ「気候変動問題・SDGsに関する生活者意識調査(CSVサーベイ2021年3月)

民谷 成