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不動産賃貸事業の成長の方向性

ビル賃貸業大手がテナントである個別指導塾を連結子会社化すると発表。最大160億円を投じ出資比率を現在の約20%から51%まで引き上げる。当社は近年、新規事業として教育分野に注力、教育のテナントに特化したビルの開発を推進中で2029年までに首都圏で20件程度まで増やす方針とのこと。
本事例は資本力のある銀行系企業がテナント企業に出資するもので一見、非関連事業への投資に見えるが、本業回帰への投資による成長と捉える。不動産賃貸業のプロパティ・マネジメントの観点としてテナントミックスによるビル資産価値向上を狙い、集客力あるビルに入居したい新規テナントに訴求(高額賃料の収受)するものである。
医療機関に特化したビルは散見されるが、本事例の教育特化型ビルは多少新規性がある。当社としてさらに特化型モデルを拡充するのはどうだろうか。子育て特化ビル、各種士業者を集積した「よろず相談」特化ビル、多種の中古品販売業を集積したリサイクル特化ビル等、ビルをテーマパーク化して集客力を向上するのである。ビル設備の高度化ではなく、テナントに出資→テナント業種集積→機能特化に注力したビル資産価値向上施策の良い事例である。

竹本 佳弘