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リスキリング前にやること

総務省の労働力調査によると、2019年は転職者数が350万人を超え過去最高を記録。コロナ禍で減少するも、2022年は増加。足元で35〜54歳の転職者も伸長とのこと。終身雇用を前提とした日本では、長らく転職の「35歳限界説」が通説であったが、近年のハイスキル層の人材不足の中、中途採用ニーズが近年高まっている。キャリアエージェントは「35歳というボーダーラインは過去のものになり、一定のスキルを培った40代以上に対する採用意欲が非常に強い」とのこと。これを受けてリスキリングで社労士、会計士、診断士等の国家資格を取得して転職、起業する場合があるとのことだ。

一方で最近のAIの台頭により士業の代替論も発象している。リスキリングはどの領域に求めるべきであろうか。4/10付コラムのAIを使う人、使われる人で言及した通り、当然ながらAIを使う人材になることが必要であるが、初段として転職する企業への自分の提供価値を考える。リスキリング前の自分の価値である。リスキリング内容だけでは、当スキルの既存保有者との差別化は困難である。リスキリング前の自分の提供価値 X リスキリング後の価値である。この両利きの価値で差別化するのだ。このため、リスキリング市場を検索するのではなく、リスキリング前の自分の価値を的確に定義の上、リスキリングの領域を選定するのである。

竹本 佳弘