先日、食品の年内値上対象品目が約20,000品目に上るとの報道がされた。ウクライナ情勢や、世界各地で起きている水不足による国際的な供給不足、また円安による輸入コスト増と、生産額ベースで食料の約4割を外国からの輸入に依存する日本にとって、食品価格高騰は避けられない状況である。一方で、食品を無駄なく消費できているかと言うと、世界では生産された食料の約3分の1が廃棄されており、日本でも、国民一人当たり1日約113g(お茶碗1杯のご飯の量150g)のフードロスが発生している。これは製造・卸売・小売・外食・家庭のフードチェーン上様々な要因が関わり合い生じている問題であり、本コラムでも数回にわけて取り上げていきたいが、まず今回は全体の4割強を占める家庭でおきるフードロスに着目してみたい。
日本で1年間に発生する食品ロス約522万トンの内、約247万トンが家庭から出ている。その主な原因は、①「直接廃棄」(買い過ぎや長持ちしない保存など)、➁「食べ残し」(作りすぎなど)、③「過剰除去」(調理技術不足や過剰な健康志向など)だ。
対策として「日常的な意識の変化が大事である」と各省庁提示しており、それに同意するものの、実際には意識改善は難しい。食品は個々の単価が低い上に損失金額が見えづらく、損失させた際のストレスが低い。また在庫管理するにも、家庭にある食品は多品目で且つ、補充と消費の頻度が高く、日々管理するには負担が重すぎると想像する。
ただ、家電のIT/IOT化が進む現在、これまでに無い家庭の食品在庫の悩みを解決する家電が開発されている。日立やアイリスオーヤマからは、スマホから冷蔵庫の中身を見ることが出来る冷蔵庫が発売された。またシャープからは、冷蔵庫備え付けの買い物メモにより購入履歴をリスト化し食材の買い時をアドバイスする機能をもった製品が出ている。個人的には、スーパーのレジとのデータ連携や、紙のレシートをOCRでデータ化するなど、購入履歴をデータ化してくれるアプリも近々出来るのではと期待する。
家庭のフードロスは改善のインセンティブが働きにくい領域と考えるが、昨今の食品価格高騰やSDGsの社会的認知は、フードロスに対する消費者意識を高める絶好の機会であり、これを機に多少コストと負荷が掛かる家電やアプリでも導入意思が働くのか着目したい。
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マーケティング
2022年10月03日