培養肉の普及として問題点がいくつかあることを前回まで記載させて頂いた。以下3点が問題点である。①味や香りの肉としての再現、②一部の栄養素の欠損や摂取時の安全性、③価格の高さ、が挙げられる
このうち③価格の高さを解消させる技術の紹介とその後について言及させて頂く。培養肉を製造する際に、細胞を成長しやすくする培養液が高価である事が製造コストに起因している。この培養液の新しい代替技術として、体内と似た環境を人工的に作ることで細胞の成長を促し、培養液使用よりコストが安く製造ができるという。食肉用途では、量産化により畜産肉と同等の単価まで低減することが求められる。
ここで量産化で成功しているモデルケースとして比較できるのは、人工タンパク質である。国産工場での試験的な製造により、今までは生産量が少なかった。現在は、海外に生産工場を建設し量産化の目処が立っている。こちらは、環境負荷が軽減されるというマーケティング、用途提案(繊維や人工肉として使用)で期待されている。培養肉の食以外の活用として再生医療の可能性がある。例えば、心臓に欠損のある患者に培養した心臓を移植するといった活用ができる点も注目していきたい。