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ドラッグストア 事業ポートフォリオの再編

ドラッグストア最大手がM&Aを協議中。企業合併した場合、売上高2兆円規模となり、業界の総売上高の約4分の1を占める。M&Aの背景の1つに事業環境悪化があるとのこと。悪化要因はアフターコロナの検査薬販売減と調剤事業の収益性低下とのことだ。23年の調剤事業の粗利率は37.8%(前期比▲0.9%)。22年調剤報酬改定による収益性低下である。調剤売上高は同社の約2割を占める主要事業、低価格品(食品・日用品等)と比べて高収益で調剤併設店の比率は約8割あり、今後も調剤報酬改定の影響は特に大きいとの模様。今回の企業合併が実現した場合、調剤事業の売上高の2社合計は約3400億円(22年度)になり、調剤薬局最大手(約3200億円)を上回るとのこと。
これまでドラッグストアはCVS業界と比較され新規参入者として競争力を高めてきたが、ここにきて事業ポートフォリオ再編に対峙している。顧客接点においてドラッグストアとCVSとの差異は「ゆりかごから墓場まで」の全世代包囲である。
粉ミルク・オムツ等の物販と調剤において乳幼児との接点もある。ここで物販・調剤を全世代対象としたLTV管理に移行するのはどうだろうか。アプリ登録者(おそらくは親などの成人)の家族含めて購買・調剤履歴からクーポン付きの推奨品の紹介、推奨の料理レシピと栄養補助するOTC品、サプリ、美容用品である。当然、「ゆりかごから墓場まで」なので既存商品・サービスだけではなく、異業種提携により周辺事業への展開(送客)も可能となる。

竹本 佳弘