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ジョブ型雇用 ~時間管理から成果管理へ~

コロナ禍の新常態として在宅勤務を中心とした仕事の見直しが定着しつつある。それに伴い、新たな評価軸で労働者を評価する人事制度の見直しも必要になりそうだ。大手IT企業では、国内のオフィススペースを2022年度末までに半減し、出社を前提とした働き方を変えると発表した。また、6月から国内の管理職約1万5000ポストを対象にジョブ型を開始した。ジョブ型雇用は職務を明確に規定し成果を評価しやすくする制度で、時間ベースの管理がしにくい在宅勤務とも相性がいいとされている。これまでの時間管理から成果管理へのシフトである。個々人の成果の定義及び成果評価方法の透明性は今後の課題となるが、年功序列ではなく、成果主義にシフトすることは若年層労働者のニーズに合致していると考える。一方、雇用維持を前提とする企業として、成果のあがらない労働者には、どのように対峙していけばよいのであろうか。成果に応じた個々人の報酬額は変動していくが、企業としての人件費予算は大きく変化はないと考える。同様に、人材能力にバラツキがある場合は成果の総量も大きな変化はないと想定される。成果のあがらない労働者の能力底上げが無い限り、企業としての総生産性は向上しない。このため、底上げ施策が必要となる。まずは成果のあがる労働者の能力をジョブ化(目的化・形式化)して、成果のあがらない労働者へ移植するのである。当然、移植支援チームの体制整備も並行して必要である。

竹本 佳弘