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サプライチェーン・ガバナンス③ ~モノからデータへのガバナンス~

前回の寄稿において、サプライチェーン・ガバナンス(以下、SCG)構築の一つの方向性として、チャネルキャプテン企業が、サプライチェーン構成企業にIT企業化した製造・部品メーカーを参画させることに言及した。その協業の上で、SCG構築の成功要因を考察したい。見える化、ルール化、ブロック化である。
見える化については、多層化、零細化しているサプライチェーン構成企業の名称を暗号化した状態で、BOM(部品表)のように紐づける。どの企業が、どの製品を供給しているか、あるいは、どの企業が代替品を供給可能かなどを、SCGプラットフォームで管理するのである。
ルール化については、SCGプラットフォームの参画企業に対して、取引及びオペレーションの詳細条件を明示、また有事のときの対応・体制なども明示して、統制を効かせる準備を行う。
その上で、ブロック化である。サイバー攻撃などのサプライチェーンの新たな脅威に対するブロック(遮断)である。サプライチェーン構成企業の誰が、いつ、製造・物流などの活動を実施したかの履歴を残す。
当然ながら、チャネルキャプテンの資金力、行政の規制緩和、サプライチェーン構成企業内の情報システムとのインタフェイスの堅牢性担保など、実現課題は山積みである。しかしながら、サイバー攻撃急増の中、SCGプラットフォーム構築・活用によるサプライチェーン全体のパフォーマンス向上(実需へのスピード対応など)と、リスク回避(サイバー攻撃遮断など)の早期実現が求められている。

竹本 佳弘