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サプライチェーン・ガバナンス② ~モノからデータへのガバナンス~

前回(9/28)、サプライチェーン・ガバナンスについて寄稿した。
サプライチェーン・ガバナンスはサプライチェーンを構成する企業群において、チャネルキャプテンとなる企業数社が主導して業界全体でのサプライチェーンのプラットフォーム及び取引条件を設定、中小企業を含めてその仕組みの中でエンドユーザーまでの供給網を整備することである。
これまで、筆者のサプライチェーン・ガバナンスの提唱においては、有事の際の企業の株価低迷の結果を示してきた。しかしながら、今般ではサプライチェーン遮断による業績低迷に対する株主評価だけではなく、ESG投資(環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)を重視した経営を行う企業に対する投資)や、SDGsといった経営目標も株主評価として加わり、企業を見る目は複雑化している。
このようなビジネス環境において、サイバー攻撃などの本格化した脅威に対処するためにも、サプライチェーン・ガバナンスの対象範囲をモノからデータに拡充した取組みが重要視されていると考える。一つの方向性として、前述のチャネルキャプテンとなる企業が、サプライチェーンを構成する企業にIT企業化した製造・部品メーカーを参入させ、ブロックチェーン等を活用したプラットフォームを構築するのである。

竹本 佳弘