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コロナ禍におけるサプライチェーンの見直し

企業が新型コロナウイルスのリスクを前提とする経営の新常態を探っている。緊急事態宣言解除後、新聞社の「社長100人アンケート」では、国内に工場を持つ企業の7割がサプライチェーンを見直すと回答。また全体の9割がテレワークを継続するとのことだ。サプライチェーンの見直しとしては危機発生に対応し、柔軟に調達先を変更できる、特定国への集中を見直し分散化を進めるなどを検討している模様だ。しかしながらSCMの実態としては調達先を変更することは困難である。これまでの調達改革において、コスト、リードタイムとBCPの観点で並行購買、仕様共通化など、あらゆる打ち手を実施してきた。有事において調達先を柔軟に変更、分散するのは難問といえる。ではどのように有事に対応するか。SCMにおいては、全業界に当てはまるものではないが、調達品の設計・製造の工程まで遡及する必要がある。調達品の仕様のデータ詳細化と3Dプリンタなどの活用により、地域制約にしばられることなく、設計・試作・製造できる新常態をつくるということだ。これにより有事が発生した際は、エリアを選定して調達先に生産を委託し、調達・製造・供給する回復性の高いサプライチェーンを提供するのである。

竹本 佳弘