アパレル大手2社の経営者が成長戦略に関しコメントしている。A社:基幹ブランドを地道に育てる。7つの基幹ブランドの売上高を各100億円規模に早期に到達させる。消費者はインフレ下で低価格商品を求める傾向がある半面、富裕層や訪日外国人の増加で高価格帯の需要も高まっている。消費の二極化時代に中途半端な品質のブランドは生き残れない。当社ブランドはアッパーミドルでラグジュアリーブランドの下に位置づけられる。品質や価格をいたずらに下げず、アッパーミドルのトップランナーを目指す。
B社:複数ブランドを一挙に集めた販売店を強化する。直近3年で100店舗強出店。通常1店舗1ブランドだが、当店舗は5ブランドの商品を垣根なく販売。またEC商品を店頭に取り寄せて試着・購入も可能、実質的にほぼ全てのブランドを1店舗で購入できる。といったコメントである。
A社ブランドのポジショニングのアッパーミドルであるが、成長するための一定規模のパイがあるのか懐疑的である。B社の全ブランドを1店舗で購入可能とのことだか、そもそもブランド愛好者の加齢とともに新ブランドを展開してきた中で複数世代のブランドが混在する当店舗に集客力があるのか懐疑的である。
このように成長戦略を策定する前に、現存の愛好者の想いを的確に描写(どのシーンで、どんな想いで、どうなりたいから購入するのか)する必要がある。さらに日系アパレル複数社にて合同イベントを開催し、愛好者が自社の複数ブランドを試着する動線分析及び企業横断した複数ブランドのコーディネート診断等、愛好者の立ち位置から再検証することも肝要と考える。