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ダイナミック・ケイパビリティとオーディナリー・ケイパビリティ

コロナ禍における企業の活動能力において、「ダイナミック・ケイパビリティ」という米国大学教授が提唱している考え方を紹介する。
まず、企業の活動能力は、ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力)とオーディナリー・ケイパビリティ(通常能力)の2つに分けられるとのことだ。
ダイナミック・ケイパビリティは、組織が自己変革する能力で、「正しく変化する」というのが提唱者の考え。一方、オーディナリー・ケイパビリティは、所与の経営資源を有効活用する能力で、労働生産性や在庫回転率のように、測定可能且つベンチマーク可能なもので、「ものごとを正しく行うこと」というのが提唱者の考え。

従前からよく言われている、Do the right things.=ダイナミック・ケイパビリティと、Do the things right.=オーディナリー・ケイパビリティということであろう。
日本企業においてはカイゼンに代表されるように、現状に対して改善を繰り返す「ものごとを正しく行うこと」が多く、抜本的な改革である「最初から正しく変化する」というのは困難なケースがある。これはトップダウン型ではなく、ボトムアップ型Xサイロ型の部分最適の組織論が存在することが要因の1つと考える。

では、どのようにダイナミック・ケイパビリティを獲得するのか。重要なのは、リソース(事業・人・資金)をリストラクチャリングする企業家的な能力で、この能力は模倣が困難で内製化するものであり、確立できれば持続的成長につながるというのが提唱者の考えである。
しかしながら、内製化できるほど、企業内に人材がいるか、疑問である。内製化のためには、オーガニゼーショナル・ケイパビリティ(組織能力)の強化が必要と考える。
オーガニゼーショナル・ケイパビリティとは、愛書の「ストーリーとしての競争戦略」にて提唱されている競争優位を確立するための要件である。詳細は本書にあるが、まずはオーガニゼーショナル・ケイパビリティ強化によりダイナミック・ケイパビリティ獲得の機会が生じると考える。

竹本 佳弘