さて、既存の手法として富田氏の鬼速PDCAがある。これによりPDCAは「前進を続けるためのフレームワーク」というイメージに切り替わるといえる。ゴール、プロセスとPDCAを階層づけて入れ子にしていくものであり、小さなPDCAを多く並行して回していくものである。従ってこの方法でもOODAループと同等の効果を得られるといってもよいであろう。仮説立案能力を重視する鬼速であれば、臨機応変な対応力も考慮されているし、KDI(Key Do Indicator)、KGI(Key Goal Indicator)といったKPIの各層での検証も、OODAループに匹敵する効果を得られるといっていい。予告したOODAループの真の目的は、顧客の感動である。これを目指してすべての事が連動して行われれば、ものすごい効果が得られることであろう。以上をもって本連載を終える。OODAループも鬼速PDCAも、それだけではただの手法であり、魂はない。よって、あなた(利用する人)がどれだけ意思を込めるかにかかわってくるであろう。読者諸氏の成功を心よりお祈りします。
参考文献:
○「すぐ決まる組織」の作り方OODAマネジメント (入江仁之 著)【フォレスト出版】
○ 図解鬼速PDCA (富田和成 著)【クロスメディアパブリッシング】
○ ドイツ電撃戦に学ぶOODAループ「超」入門 (遊撃旅団 著)【パンダパブリッシング】
有冨 嘉哲
慶應義塾大学化学科・大学院理工学研究科卒業後、㈱富士通総研産業コンサルティング本部、㈱三菱総合研究所経営コンサルティング事業部にて経営、業務、ITのコンサルティングに従事。特に流通業の経営戦略、IT戦略に豊富な実績を有す。その後、起業を目指して現在、準備中。