TIC | 株式会社東京コンサルティング研究所

経営者がもとめるAIとは

今般、企業経営者がデジタルトランスフォーメーション(AI、IoT等を活用した事業変革)を主導する事例を多数見ることができるが、経営者がAIにもとめていることが実現されているであろうか。経営者はAIを活用して、自社の将来と、もっと対話したいと考える。例えば、消費財メーカーの経営者として、AIにもとめることを考察したい。
自社の将来の業績との対話についていえば、AIを活用して、早め早めの業績の修正・指示を実現したい。売上日報及び外部情報(顧客である小売業の販売実績や、SNSでの自社品の評価等)を取り込み、AIが期初損益予算(管理会計上の月単位の部門・商品別損益予算)を自動修正する。つまり、次月の経営会議で当月と今期着地見込を協議するのではなく、経営者が見たいときに、成り行きの業績と期初予算とのギャップや着地見込を理解できる。その上で経営者が迅速に対策を指示できる環境をAIにもとめていると考える。迅速な対策の指示とは、追加の重点投資の意思決定や、AIが示すリスク(他社事例等)も含めた早期の撤退勧告である。
次に自社の将来の商品との対話についていえば、AIを活用して、これまで思いつかない機会を創る、例えば他業界向けの新用途開発である。現行の開発組織や協業先は、既存市場の新商品開発や新商品の説明業務等の対応に追われているため、他業界への新用途開発に時間を充てるのは困難である。一方、経営者として既存市場における持続的成長をコミットすることも困難である。このような中、国内外の外部情報を取り込み、AIを活用して自社の原材料、製法との組合わせた他業界向けの新用途開発の助言をもらうのである。

竹本 佳弘