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業界別サプライチェーン全体のCO2削減

企業の脱炭素経営が進んでいる。監査法人大手の調査によれば主要企業400社の2024年の売上高当たりCO2排出量は21年比で3割削減、工場やビルでの再生可能エネルギー由来の電力利用を増やすなどして、排出削減と収益成長を両立させているとのこと。調査結果としてスコープ1(自社製造工程等のCO2排出量)は21年比では横ばい、スコープ2(電力購入などに伴う間接的排出量)が3割減とのこと。当然ながら、スコープ1に向けた設備投資は資本効率を短期的に悪化させるため、各社は難しい判断を迫られるとのこと。
大手各社はIR観点を踏まえて排出量削減にも投資している。しかしながら、各社を中心に構成されるサプライチェーン全体での排出量削減は進んでいるか、定量的評価が望まれる。大手各社が排出量削減を達成するも、サプライヤーが排出量増加していていれば、当業界のサプライチェーン全体の排出量削減にはつながらない。このため、サプライチェーン全体での排出量管理が必要である。ここでサプライチェーン・ガバナンス(弊社提唱)を効かせた仕組みとKPI管理が求められるのである。

竹本 佳弘