インフルエンザ感染者数が過去最高水準となった2024年12月下旬頃、一部の医療機関や薬局で治療薬の在庫不足及び在庫偏重が発生したとのこと。厚生労働省によると、25年1月12日までの1カ月間のインフル感染者数が推定約680万人なのに対し、医薬品卸から医療機関などへのインフル治療薬の出荷量は約1070万人分、国全体では十分な在庫量があった。在庫不足・偏重は大規模薬局などが多めに発注していた可能性があり、背景にはメーカ返品条件付の仕入が見受けられるとのこと(返品は国基準に満たず廃棄することが多い模様)。
またインフル向けの薬は、流行開始前にどれだけ在庫確保するかがポイント、一方、保管料が嵩むため、メーカは生産量を期中消化量に抑えることが多い。
商慣習上のパワーバランスがあるなか、メーカとして顧客に適正発注を要請するのは困難と考える。それであれば、シーズナリー薬品限定でメーカ主導のVMI型の在庫管理で流通全体の在庫をコントロールするのはどうだろうか。当然、VMI費用はメーカが負担する一方、廃棄コストを差し引いた分を薬価(薬価改定対象外とする規制対応も必要であるが)にコストオンするのである。単品管理における収益性確保の一方で社会ライフラインである医療機関・薬品は欠品が許されない。業界全体での取り組み推進が望まれる。
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インフルエンザ薬におけるSCM改革
SCM/ロジスティクス
2025年03月10日