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WMS導入失敗から学ぶ成功へのステップ

在庫・倉庫管理システムを提供するダイアログは、倉庫管理システム(WMS)の選定に失敗した経験を持つ運送・輸送業の会社員111人を対象に、WMS導入の失敗要因について調査をしたと発表した。この調査によると、失敗した要因として最も多かったのが「現場側の意見を取り入れていなかった」である。ただ、この現場側ニーズを整理してシステム機能に反映させることは容易ではないと想定する。そこで重要なことは、導入検討の第一歩として、導入目的を明文化することだと考える。これは今回の調査結果の失敗要因では、回答として6番目に多く、実は目的を明確にできていないケースが多いのではないだろうか。
WMS導入を成功に導く「導入目的が明確」な状態とは、期待する導入効果の目標値を定めるだけでなく、業務課題を解決する新WMS用いた業務の有り姿を明文化している状態だと考える。例えば、「在庫管理精度を金額ベースで95%達成させる」ことを効果の目標値として設定、それを実現させる業務プロセスとして、「ピッキング時には、全品に対してハンディーターミナルで商品バーコード読み取ることで取間違いを防止する」など、効果創出に必要な業務プロセスが具体的に決まっている状態を指す。なぜ、この様に業務レベルにまで落とし込んだ目標設定を行うかというと、その目標設定プロセス自体が、現場ニーズのヒアリングの機会になるからである。
WMS選定は管理職クラスの方々が中心に進めることが多いと聞く。ただ実際には、実ユーザーである作業者の意見反映は非常に重要な事であり、その為にもまず、現場を巻き込んだ、「明確な導入目的」を定めることをお勧めしたい。 

上田 彩寿香