物流業界の今後の大きな潮流に成りうる事例を紹介する。外資系不動産開発企業が投資配分を物流センタからデータセンタ(DC)に拡充している。背景は首都圏の新設物流倉庫の供給過多。不動産調査会社によれば首都圏の物流施設の2024年7〜9月期の空室率は10.1%に上昇、14年ぶりの高水準(オフィスビル空室率の需給バランスは5%未満)とのこと。
一方、28年までに新設されるDCの最大電力容量は2000メガワットを超える。消費電力200ワットの一般的なサーバー1000万台を同時に稼働できる規模。調査会社は日本のDC市場が27年に22年の2倍の4兆円超になると予測。
このような中で24年12月、米物流施設大手は日本でDCの開発・運営を始めると発表。まず福岡県内の物流施設の敷地内に小型DCを建設、GPU搭載のサーバ10台を導入、膨大な計算量が必要な生成AIも対応可能とのこと。
物流投資先のシフトの良い事例である。DCには電力、冷却の設備が必須であるが物流センター屋上の太陽光発電を有効活用できる。当社は国内84カ所で施設を運営、今後、物流センター内にDCを隣接展開する。
購買のロケーションシフト(リアル店→仮想店)が定着する一方、日本全体の物流量は増加しているわけではなく(小口化のため配送個数は増加している側面もあるが)、物流センターの供給過剰が到来することは予見できた。今回はその環境変化を受けてのDCへの拡充である。さらに将来的には前述の隣接物流拠点をDC化にする物流センタの用途転用もあると推察される。
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REIT 物流センタからデータセンタへ
新規事業
2024年12月16日