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食品SM、関西進出の意味するもの

EDLPの食品SM大手が24/11月に念願の関西進出を実現させる。21年末に関西地場SMの買収劇が破談したことは記憶に新しい。進出するのは東大阪市でSMの激戦地区でもある。一号店出店以降も関西で積極出店し、CAGR20%達成のため新市場(関西)に注力するとの発表である。
同社の関西進出は大阪地場SMとの提携か買収の可能性を示唆している。要因の1つとして当社の関西における物流ネットワークの脆弱性である。
基本方針として中堅、地場の食品SMはドミナント戦略で配送密度を上げ、店舗配送コストを最少化する。本事例では当社の関東物流センターから、物流コスト負担力のない安価商品を東大阪店舗に配送するのは考えにくい。仕入先の関西拠点から当社の関西物流センターへの直送であろうが、物量少ない中でローコストオペレーションは困難であろう。
このため関西の店舗配送は提携先SMの物流ネットワークに相乗りすると想定される。しかし提携・相乗りでは物流ローコスト化は確立できない。このため一気呵成に買収して店舗・屋号だけではなく、物流ネットワークも飲み込む可能性があると考える。今年の当社の動向に注視したい。

竹本 佳弘