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すきま時間、活用から争奪へ

YouTuberから、収益が減ってきたとの声が相次いでいる。民間調査会社(2014年1月から2023年1月までの投稿動画の累計再生回数)によると再生回数は減少傾向、各チャンネルの2022年の平均再生回数を1として指数化し、全体の平均値の推移をみたところ、2017年8月の26.5をピークに2020年5月以降は10を下回る水準で推移するとのこと。

再生回数の減少はYouTuberの収益に直結する。YouTubeから受け取るアドセンスは再生1回あたり約0.05~0.7円とされる。ある経営学者の考えでは、チャンネルの増加で視聴者が分散、且つTikTokとの時間の争奪戦とのこと。動画を早送りする倍速消費の時代で視聴者のニーズも変化する。総務省調査によると、YouTubeの利用率は88%と飽和感あり。

これまで、「すきま時間の消費」というキーワードで時間の有効活用が消費者ニーズとされていた。しかし、すきま時間の活用方法の飽和と倍速消費の時代となり、すきま時間は活用から争奪に変化している。フォロワー数の多い、インフルエンサー間での争奪戦となり、且つ、いわゆる刹那勝負である。一瞬で決まる勝負であればコンテンツはなるべくシンプル、反復性、記憶性があるものが良く、その上で、コンテンツのリアリティと視聴者のライフスタイルとの親和性が必要と考える。

竹本 佳弘