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ESG志向のサプライチェーン・ガバナンス

2021年8月15日付コラムにおいて、サプライチェーン・ガバナンス4つのリスクと題して、4つ目のリスクとして労働環境(人権保護)のリスクについて言及した。今回はそのリスク回避に関する商社の新規事業を紹介する。
22年初、商社大手がその仕組みを新規事業として発表。当社は供給網のリスクを可視化する新事業を開始、22年内にも衣料品の原材料調達先で環境や人権の問題がないことを確認できるサービスを展開する。ESGに配慮した商品の需要が高まっていることに対応するとのことだ。
原材料を調達する農家一軒一軒で使っている種子や農薬、生産方法などの全てをデータ化し、ブロックチェーンの技術を使って履歴追跡を確保する。商品タグのQRコードをスマートフォンで読み取ると「強制労働が行われていない」「環境負荷が大きい農薬の不使用」といった人権や環境への配慮が一目でわかるアプリを企業、消費者に提供するとのことだ。
昨今、株主に訴求する企業価値向上の目的及び、消費者に訴求する企業ブランド向上の目的として、ESG志向のサプライチェーン・ガバナンスが求められている。弊社の提唱するサプライチェーン・ガバナンスとは在庫、実需の可視化を基点としたサプライチェーンマネジメントだけではなく、サプライチェーンの構成企業をサプライチェーンのキャプテン企業が統制するものであり、本件の商社の新規事業展開が示唆するようにサプライチェーン・ガバナンスがさらに重要度を増している。ESG、SDGs等のキーワードとした企業活動が加速していくなか、今後もサプライチェーン・ガバナンスの取組みを注視していきたい。

竹本 佳弘