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物流REITからデジタル証券へ

信託銀行大手は11月、物流施設を投資対象とする一般投資家向けのデジタル証券を発行すると発表した。1棟の物流施設に小口投資できるのが特徴。一般投資家向けのデジタル証券は国内で2例目とのことだ。デジタル証券はブロックチェーンを使ってデジタル化した有価証券で、2020年5月に法整備され、証券会社も注力している模様である。
当信託銀行の発行総額は7億6000万円で、投資家は物流施設の賃料収入を裏付けにした金利収入が得られる。
これまで物流領域の投資商品は物流REITがあるが、複数の物流拠点を組み込んた型であり、11月時点、分配金利回りは2-3%台である。
一方、デジタル証券は1棟の物流施設を対象としているため、対象施設のテナント企業に着目すれば投資商品として魅力的と考える。
テナント企業がEC業界、あるいは、メディカル・コスメ、スポーツアパレル等の業界である。当然ながら前述の業界においても栄枯盛衰スピードは加速しており、確実に勝ち組を見極めなければならない。
新設の物流施設も、これまでの建築すれば即満床のビジネス環境から空床が埋まらない状況に変化している。勝ち組の増床あるいは倉庫移管などによる新施設満床が主流となるなかで、デジタル証券の動向は物流業界の指標の1つになると考える。

竹本 佳弘