百貨店大手が売場に占める自社運営の比率を4割以下に減らす。コロナ禍において消費のロケーションシフトが加速する中、旗艦店を含めてテナント賃料で稼ぐ不動産業型に転換し、収益基盤を再構築する。同社の他施設(自社運営比率3割)の成功が背景にあるとのことだ。
新たに誘致するテナントは新興アパレルなどを狙う。間仕切りのない売り場を設け、ネットで消費者に直接販売するD2Cブランドを誘致した取り組みだ。一方、テナントビジネスは経営環境が悪化すれば、賃料の引き下げを迫られる。コロナ禍で優良テナントの奪い合いも激しい。テナント化すれば利益がすぐ出るというのは危険な考え、と距離を置く自社運営比率8割程度の競合もいる。
これまでも優良テナントを誘致して大家の役割にシフトする百貨店企業は多い。しかしテナント誘致だけでは、結果、どの百貨店も同業態となり個客にとって魅力が薄れる。
このため、テナントミックスを練り直す必要がある。売り場全体でライフスタイルを提案・完結できるテナントミックスである。またテナントを横断したクロスセルとその販促(割引)を組み合わせることで当フロアの滞留時間と消費を創出させる。
当然ながらネットもそのテナントミックスの環境を提供し、個客は自宅でも購入できる。一方、現物を体験したい個客はリアル店舗に送客する、On-Off lineをしっかりと融合させるのである。
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消費のロケーションシフト② ~リアル店舗の役割~
経営戦略
2021年10月18日