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港湾機能 カーボンゼロへの対応

政府はカーボンゼロ実現に向けて、港湾施設の再整備を検討している。水素やアンモニアの輸入拡大を見据え、2020年代半ばにも大型専用船が接岸可能な港湾設備を整備するとのことだ。
水素やアンモニアはカーボンゼロを達成する有力な資源となる。アンモニアの消費量を30年までに年300万トンまで増やす計画で、専用の港湾設備などが必要となる。また、現行の専用船の積載量は最大5万トン程度だが、20年代半ばには3倍超を運べる新型船が登場する。一方、港湾整備には数百億円規模の費用がかかるケースが多く、釧路港の国際物流ターミナル整備では180億円を費やしたとのことだ。
米国ロサンゼルス港とロングビーチ港等は、グリーンフラッグプログラム(40マイル域内での減速航行)等のCO2削減に取り組んでいるが、主要国で本格化するのはこれからとなる。また、専用船が接岸後、車両搬送となる場合のCO2削減への取り組みも肝要となる。つまり、車輛のCO2排出と港湾搬出入ゲートでの車両の大渋滞の回避である。
過渡期であるが、現行の軽油燃料の車両による内陸輸送となる場合、CO2削減は困難となる。このため、港湾設備の整備と共に、水素、アンモニア燃料の車両の整備、搬出入ゲートを含む給油拠点の整備もあわせて必要となる。

竹本 佳弘